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第89話 パーセルの緊急クエスト

Author: 黒蓬
last update Huling Na-update: 2025-05-19 06:00:06

パーセルはロンデールの北に位置する都市だ。

マグザとは逆に寒冷な気候で生息する魔物達も厚い毛皮に覆われたものが多い。

そして当然ながら夜は一層寒くなる。

「ちょっと認識が甘かったなぁ。こんなに急に寒くなるなんて」

「本当ですね。ギルドで少し聞いてはいましたけど、ここまでとは思いませんでした」

「今のうちにもうちょっと薪を集めておいたほうが良さそうだな。ちょっと探してくるよ」

「それなら私も一緒に行きます。もう周囲も暗いですし何かあると危険ですから」

ということで、カサネさんと二人で近くの林に薪を探しに向かう。

ロシェは薪拾いには不向きなのでお留守番だ。

ライトの魔法で周囲を照らしながら薪を拾っていると、突然索敵スキルに反応があった。その反応は俺に向けてまっすぐ近づいてきている。

俺は急いで振り返り反応の方に向けて魔銃を構えた。すると盗賊と思われるような格好で顔も隠した人間がこちらに向けて投げナイフを投擲しようとした。

「ちっ!」

盗賊が舌打ちをしてそのままナイフを投擲してきた。俺も一発発砲しつつ後方に飛び退く。魔弾はちょうどナイフと衝突してナイフを弾き飛ばした。

「あの距離で気づくとはな。商人と思って油断した」

「いきなり何なんだ。何が目的だ?」

「ふん。お前が知る必要はない。我らのために大人しく死んで貰おう」

(いきなり死んでくれって問答無用かよ!?)

どうやらここから少し離れたところでも戦闘が発生しているようだ。

カサネさんのことも気になった俺はさっさと札を切ることにした。

ちりんちりんと場の雰囲気に相応しくない軽やかな鈴の音が響き渡る。

「なんだ?助けを呼ぶつもりなら無駄・・・何!?」

盗賊が驚いて見た先に黒い人影が現れる。

「あいつを倒せ」

盗賊を指して指示を出して、俺は別方向から盗賊に攻撃を仕掛けた。

迫るゴブリンロードの影と俺の魔獣による射撃に挟まれた盗賊は、戦況不利と判断してかあっさりと身を翻すとそのまま森の中に消えて行った。

「アキツグさん、平気で

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